和歌山県のローカル線、和歌山電鉄貴志川線で、多くの人々に愛されてきた「猫駅長」の物語をご存じですか?初代「たま駅長」の登場から始まったこのユニークな取り組みは、地域の観光を支える象徴となり、その後継者たちへと受け継がれています。本記事では、猫駅長が生み出した経済効果「ネコノミクス」や地域再生の秘話、そして現在の4代目「よんたま駅長」の活躍に至るまで、愛らしい猫駅長たちが紡いできたストーリーと未来への展望をご紹介します。
和歌山電鉄たま駅長:猫駅長の歴代物語と現在の4代目による未来への歩み
初代「たま駅長」の誕生秘話
和歌山県のローカル線、和歌山電鉄貴志川線は、2006年の和歌山電鉄への経営移管時、沿線人口の減少や慢性的な赤字に悩み廃線の危機にありました。この難局を打開するアイデアとして生まれたのが、「たま駅長」の就任です。2007年、当時の小嶋光信社長は、三毛猫「たま」を貴志駅の駅長に任命することで、地域の人々に親しまれる駅を目指しました。
たま駅長の就任には、飼い主である住民やスタッフの協力がありましたが、最大の決め手は「地域に根ざした猫の存在が、招き猫のごとく観光客を呼び込む力になる」という思いでした。たまは駅舎内で帽子をかぶって出迎え、お見送りし、のんびりと「駅長業務」をこなしました。その姿が口コミで広まり、貴志川線の認知度は急上昇。日々の駅務を行うたまの姿は、「愛らしい駅長がいる駅」として一躍話題となり、日本全国から観光客が訪れる人気スポットへと成長しました。
生立ち
たまの母猫であるミーコは南海電気鉄道時代の貴志駅で飼われており、そこで4匹の子猫を出産しました。その中で一番穏やかな三毛の子猫が「たま」と名付けられ、母猫ミーコと共に小山商店で飼われました。また、たまは駅前に捨てられていた子猫「ちび」を母親代わりとして育てました。たまたちは猫小屋で飼われ、日中は売店前で過ごし、駅利用者や近所の人々に「駅のアイドル」として愛されていました。
ミーコ
たま
ちび
たま駅長が生んだ「ネコノミクス」と経済波及効果
たま駅長の効果は、「ネコノミクス」と称され、観光業や経済活動にも大きな影響を与えました。観光客の増加により、貴志川線沿線の店舗や観光施設も注目を集めるようになり、和歌山電鉄の収益は前年比で40%増を記録。関西大学の研究では、和歌山電鉄や地域経済に対する年間経済効果は約11億円に達するとの試算も報告されました。
こうした経済効果により、たま駅長は和歌山電鉄のシンボルとしてだけでなく、日本の地方再生や観光活性化のモデルケースとして評価されました。日本国内外のメディアでもたま駅長が取り上げられ、「招き猫の駅長」がいる鉄道として和歌山電鉄が注目され、和歌山県全体の観光PRにも貢献しました。たまは猫駅長ブームの先駆者であり、その波及効果は現在も続いています。
たま駅長の昇進と功績:名誉永久駅長としての名誉
和歌山電鉄は、たま駅長の貢献に報いる形で、2008年には「スーパー駅長」、2010年には「ウルトラ駅長」、さらに和歌山県からは「和歌山県観光招き大明神」の称号が授与されるなど、次々と名誉ある称号を贈り、たまの功績を讃えました。2015年6月、16歳でこの世を去ったたま駅長には、「名誉永久駅長」の称号が追贈され、貴志駅構内には「たま神社」が建立されました。現在も多くの観光客がたま神社を訪れ、愛される駅長の面影に手を合わせ、感謝を捧げています。
たま駅長の後継者「ニタマ」:2代目駅長としての活躍
初代たま駅長の後任として2015年に任命されたのが、三毛猫「ニタマ」です。ニタマは岡山市内で保護され、たま駅長の後継者候補として見込まれ和歌山電鉄に迎えられました。ニタマは「たまII世」の愛称を持ち、たま駅長の功績を受け継ぎ、現在も貴志駅で駅長として勤務しています。たまの遺志を引き継いだニタマは、和歌山電鉄の象徴として観光客を迎え入れ、和歌山電鉄と貴志駅の顔となっています。
ニタマの活動と地域振興への貢献
ニタマもまた、たまのように愛らしい姿で観光客の人気を集め、貴志駅を訪れる人々に笑顔を届けています。貴志駅では、ニタマの出勤時間に合わせて多くのファンが訪れ、写真撮影や駅舎見学を楽しんでいます。また、ニタマは和歌山県警の「痴漢撲滅大使」にも任命され、地域社会への貢献も行っています。たま駅長の精神は、2代目ニタマにしっかりと受け継がれ、和歌山の観光資源としての役割を担い続けています。
3代目見習いと現在の4代目「よんたま」の役割
和歌山電鉄は、猫駅長を引き継ぐための人材育成(猫材育成?)も重要視しており、2017年に三毛猫「よんたま」が「駅長見習い」に任命されました。よんたまは、まだ小さな子猫の状態で保護され、人が好きな性格と愛らしい姿が評価され、和歌山電鉄の駅長候補に選ばれました。2022年には伊太祈曽駅(いだきそえき)の駅長に正式就任し、ニタマとともに和歌山電鉄の新しい象徴となっています。
なお、駅長見習いの候補には岡山にいる「SUNたまたま」もいたが、親代わりの両備グループの広報担当者がSUNたまたまを可愛がって「この子は手放しません。岡山に置きます」と手放さなかったために、よんたまが駅長見習いに就任することになった。
よんたまの業務と地域とのつながり
よんたまは伊太祈曽駅で勤務し、地元の人々や観光客に温かく迎えられています。特にSNSではよんたまの出勤日や可愛い姿がたびたび投稿され、和歌山電鉄への関心を高める効果を生んでいます。ニタマと協力しながら、和歌山の観光スポットとしての価値を高め、次世代の猫駅長ブームを支える役割を担っています。
6. 猫駅長が生み出した「猫ツーリズム」の進化
たま駅長がもたらした「猫ツーリズム」は、観光の新しい形として和歌山電鉄に根付きました。たまの名を冠した「たま電車」や、猫をモチーフにした「たま駅舎」、たま神社など、観光施設が整備され、観光客の楽しみの幅が広がっています。これにより、猫駅長を中心とした観光資源が形成され、地元の店舗やホテル、観光施設なども猫ブームに便乗した商品開発やサービスを行っています。
ニタマやよんたまが担う「新たな猫ブーム」
ニタマやよんたまの活躍もあり、和歌山電鉄は現在も「猫駅長ブーム」の波に乗り続けています。年中行事や地元の祭りに合わせたイベント、ニタマやよんたまの写真集、SNS投稿など、さまざまな形で「猫ツーリズム」を進化させています。たま駅長が火付け役となった「ネコノミクス」は、猫駅長が登場するたびに新たな観光価値を創造し続けているのです。
7. コロナ禍からの復興と猫駅長の未来
新型コロナウイルスの影響で観光客が減少した時期もありましたが、コロナ禍が落ち着きを見せた現在、再び観光客が貴志駅や伊太祈曽駅を訪れるようになりました。和歌山電鉄は観光資源としての猫駅長を中心に、地域の活性化を図りつつ、さらなる観光PRを行っています。小嶋社長は「猫駅長の存在が沿線の魅力を発信し続けるための核になる」と語り、今後もニタマやよんたまが地域社会と観光業の発展に貢献することを期待しています。
和歌山電鉄の継続的な取り組みと地域の連携
和歌山電鉄は、和歌山県や地元自治体と協力し、定期的に「貴志川線運営委員会」を開催して、沿線の活性化策を検討しています。地元住民も含めた官民一体の取り組みにより、地域経済の回復とさらなる発展を目指し、今後も猫駅長を通じた観光資源の活用が期待されています。
まとめ
和歌山電鉄の「たま駅長」とその後継者たちは、和歌山の観光を支える象徴としてだけでなく、地方再生の一環としても大きな成功を収めました。初代たま駅長が築いた「猫駅長」の伝統は、2代目ニタマ、4代目よんたまへと引き継がれ、猫駅長を軸とした観光戦略は今も進化しています。
和歌山電鉄の取り組みは、単なる観光だけでなく、地域への愛着や地域経済の活性化の好例として評価されています。今後も猫駅長たちが地域のシンボルとして愛され続けると同時に、和歌山県全体が「猫ツーリズム」を通じてさらに発展していくことが期待されています。
和歌山電鉄には、ユニークなデザインが施された6種類の観光電車が運行されています。それぞれの電車には和歌山の魅力や地域の特産物がテーマとして取り入れられ、乗客に楽しい鉄道旅を提供しています。
1. いちご電車
いちご電車について
和歌山電鐵貴志川線に「いちご電車」が初めてお目見えしたのは、2006年8月6日のことです。このリニューアル列車は、両備グループのデザイン顧問である水戸岡鋭治氏によるデザインで、地域の特産品であるイチゴをテーマにしています。車両はホワイトを基調に、赤いドアやロゴがアクセントとなった洗練されたデザインが特徴です。
このリニューアルには「いちご列車サポーター」の協力と寄付が大きな役割を果たしました。その感謝を込めて、車内には支援者の名前を記したプレートが設置されています。
いちご電車のコンセプト
- 利用者と運行者、どちらにとっても無理なく快適に使える公共交通機関を目指す。
- 「いちご電車」を利用するすべての人にとって、優しく、便利で、楽しい存在にする。
- 通学や通勤、遠足、小旅行のほか、車内で会話を楽しんだり、小さな展示会を開いたり、幅広く自由に活用できる電車として親しまれることを目指す。
さらに、車内には自然木を贅沢に使った床やベンチ、サービスカウンター、テーブル、弱者向けスペース、ロールブラインド、吊り手などを設置し、今までにない心地よさを追求した空間に仕上げられています。
「いちご電車」は今後も皆さまからのご意見をもとにリニューアルを重ねながら、日本で一番心豊かなローカル線を目指して進化を続けていきます。
2. たま電車
たま電車について
2009年3月21日、リニューアル列車の第3弾として、2008年にスーパー駅長に就任した「たま駅長」をテーマにした列車が登場しました。この列車は、日本中で愛される働く猫「たま駅長」をモチーフに、101匹のたま駅長が走ったり寝転んだりするデザインで、見ているだけで思わず笑顔になってしまうかわいらしい外観が特徴です。
リニューアルの資金は、「たま電車サポーター」として国内外から寄せられた支援や寄付によって賄われました。さらに、たま駅長自身もお年玉を貯金し、サポーターの一員として参加しています。車内には支援者を記念するボードが設置されており、その中にはたま駅長の名前も含まれています。
3. うめ星電車
和歌山が日本有数の梅の生産地であることから、うめ星電車は「梅」をテーマにしています。車内には梅の花や和風の装飾が施され、和の雰囲気が感じられるデザインになっています。車内の座席や内装には木材が使われ、落ち着いた和風の空間が広がっており、日本の伝統美を楽しむことができます。また、外観には梅の花の模様が散りばめられており、観光シーズンには「梅の街・和歌山」のイメージを広める役割も果たしています。
4. チャギントン電車
チャギントン電車は、イギリスの人気子ども向けアニメ「チャギントン」とのコラボレーション電車です。チャギントンに登場するキャラクター、ウィルソンとブルースターが描かれたデザインで、特に子どもたちに人気です。車内にはアニメの世界観を再現した装飾が施され、まるでチャギントンの世界に入り込んだかのような雰囲気を楽しめます。チャギントン電車は親子で楽しめる電車として、和歌山電鉄の新たな観光資源となっています。
5. たま電車ミュージアム号
「たま電車ミュージアム号」は、猫駅長「たま」に特化した展示やデザインが充実している電車です。車内には、たま駅長に関するさまざまな展示や資料があり、たま駅長の歴史や功績を知ることができます。また、たま電車とは異なる特別な装飾が施され、たま駅長のファンにはたまらない空間になっています。たまの歴史やエピソードを学びながら、たま駅長との思い出に浸ることができる電車です。
6.動物愛護電車
まとめ
和歌山電鉄の6種類の観光電車は、地域の文化や特産品をテーマにしたデザインで、和歌山の魅力を発信しています。各電車は個性的で、それぞれ異なる楽しみ方ができるため、和歌山電鉄を訪れる観光客にとって魅力的な体験を提供しています。
アクセスはJR和歌山駅から直接『和歌山電鉄』のホームより乗車します。
時刻表
時刻表はこちらで確認してから計画的に!
以下のように表示されるので、乗りたい電車の運行の有無を調べてから行く事をオススメします。
※日によって運行される電車が異なります!!
※いつでもたま電車とたまミュージアム電車が同時に運行されているとは限りません。
というか、むしろ稀です。
ー 時刻表:例 ー
アクセス (貴志川線はICカードの利用ができません)
JR和歌山駅の切符売り場で
『和歌山電鉄』の「貴志駅」までの乗車券(大人410円)を購入・・・
・・・してはダメです!!
中央改札口左側のJR有人改札口にて、「和歌山電鉄に乗りたいのですが・・・」
または「たま電車に乗りたいのですが・・・」と
JR係員に伝えると、切符なしで入場できます。
そうして9番乗り場の改札窓口にて「1日乗車券」を購入しましょう。
何回も乗るなら「1日乗車券」がお得で便利!
特に途中下車(伊太祁曽駅:よんたま駅長在職駅)すると現金だととても面倒です!!
ワンマン電車及び無人駅(全くの無人ではないが…)なので運賃の支払い方法がややこしいかも…
それに割高になってしまいます。
なので「1日乗車券を購入」の一択です。
※JR券売機では購入できません。和歌山バス JR和歌山駅定期券発売所でお求めください。
※または中央改札口左側のJR有人改札口にて、9番ホーム窓口で一日乗車券を購入する旨をJR係員にお申し出ください。
JR和歌山駅中央改札口を入り、地下道を通って行くと…
一目瞭然!!
こちらの切符売り場で一日乗車券を購入
早速たまミュージアム電車とご対面
これはまさに動く博物館だ!!
内装が凝りに凝ってる!!
現金で支払う場合はこちらの運賃箱か車掌さんに手渡します。
貴志駅に到着
ニタマ駅長がお出迎え
次はたま電車へ
是非『たま電車』と『たまミュージアム電車』の両方を体験してみてください!!
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