猫の糞（ふん）から作られるコーヒーって何なの？

一度は耳にしたことがあるかもしれない「猫の糞から作られるコーヒー」。このユニークなコーヒーの名前を聞くと、驚きや疑問が湧いてくるのも無理はありません。しかし、このコーヒーはただの話題作りではなく、実際に世界で最も高価で珍しいコーヒーの一つとして知られています。一体どのようにして猫の糞からコーヒーが作られるのか？その背景には、自然と動物の驚くべき関係と、長年にわたる伝統が存在します。本記事では、この特別なコーヒーについて解説し、その魅力と秘密に迫ります。

ジャコウネコの糞から作られるコーヒー「コピ・ルアク」の魅力とその味わい

ジャコウネコとコーヒー

ジャコウネコはネコ科の動物で、昆虫や果実を食べる雑食性です。彼らの消化酵素や腸内細菌によって、特有の風味を持つコーヒー豆が生み出されます。このジャコウネコの糞から作られるコーヒーが「コピ・ルアク」として知られています。

コピ・ルアクの作り方

ジャコウネコにコーヒーの実を食べさせる
- 美味しいコーヒーの実のみを選んで食べます。この時点で美味しいコーヒーが厳選されています。
糞を集めて洗浄
- ジャコウネコの体内で12時間ほど自然発酵された生豆を糞から取り出し、しっかりと洗浄します。糞をしてから2時間以内に回収する必要があるため、非常に希少です。
乾燥
- 太陽光に当てて数日間干し、生豆を乾燥させます。
焙煎
- 焙煎を行い、コピ・ルアクが完成します。

味の特徴

コピ・ルアクの味はフルーティーで爽やかな酸味が特徴です。ベリーのような香りと軽やかな酸味があり、非常に飲みやすいコーヒーです。深煎りの豆とは異なり、苦味よりもフルーティーさが際立ちます。

世界一高価なコーヒー

コピ・ルアクは非常に希少で、100gあたり3000円から8000円、一杯あたり2000円から5000円で販売されています。この高価格は、ジャコウネコの糞から取れるコーヒー豆の量が1日あたり3g程度であることや、その手間の複雑さによるものです。

偽物に注意

市場には、コピ・ルアクの香りを模倣した偽物も存在します。信頼できる店舗や公式の認証を受けた商品を選ぶことが重要です。

ジャコウネコの糞と香水

ジャコウネコの糞から採れる「シベット」という香料は、シャネルの香水にも使われるほど高級な香料です。動物愛護の観点から化学合成されたものが使われることが多いですが、自然のシベットの香りは非常に魅力的です。

ジャコウネコの生態と猫との違い

ジャコウネコとは？

ジャコウネコは、食肉目ジャコウネコ科に属する哺乳類の総称です。体型はイタチやタヌキに似ており、鼻先が尖った顔つきで、灰黄褐色の毛色に黒い斑模様が特徴です。尾には白と黒の輪っか模様があります。ジャコウネコはネコ目ネコ亜目に属していますが、ネコ科とは異なる独立したグループに分類されます。

生態と特徴

食性: ジャコウネコは雑食性で、昆虫や果実、小動物などを食べます。特に熟した果実を好む傾向があります。
消化酵素と腸内細菌: ジャコウネコの腸内には特有の消化酵素と腸内細菌が存在し、これがコピ・ルアクの独特の風味を生み出します。
生息地: ジャコウネコは南アジア、東南アジア、アフリカの中南部に分布しています。日本にはハクビシンというジャコウネコ科の動物が生息しています。
分泌腺: ジャコウネコは会陰部に分泌腺を持ち、ここから麝香（じゃこう＝ムスク）に似た香りの分泌物を出します。この分泌物は香水や生薬として利用されています。

猫との違い

分類: ジャコウネコはジャコウネコ科、ネコはネコ科に属し、分類学上では異なるグループです。
食性と消化能力: ネコは主に肉食であり、肉を消化するための消化酵素を持っています。一方、ジャコウネコは雑食性で、果実や昆虫なども消化できます。
体の特徴: ネコはしなやかな体と鋭い爪を持ち、木登りや狩りに適しています。ジャコウネコはタヌキやイタチに似た体型で、果実を探すための能力に優れています。
行動と習性: ネコは単独で行動することが多く、夜行性の傾向があります。ジャコウネコも夜行性ですが、食べ物を探すために地上で活動することが多いです。